a | 秋ヶ瀬公園野外菌類観察会報告 開催日時 11月03日(土・祝日) 観察地域 埼玉県さいたま市秋ヶ瀬公園付近 集合場所 秋ヶ瀬公園・三ツ池駐車場付近 世話人 大舘一夫、志村隆久(受付・保険手続き) きのこ汁担当 福島隆一、橋本啓一、葛西俊明 撮影 大舘くみ、門倉恵 報告 福島隆一 観察目録の★印は、培養観察を行った種であり、古という記号は、個体が古いことを意味している。11月3日の文化の日に、毎年秋ヶ瀬公園できのこの観察会を開催しているが、きのこの観察会としては遅すぎる感がある。柔らかいきのこは、ほとんど見られず、硬いきのこも残骸が多い。埼玉きのこ研究会の観察会でハタシメジの名前が出たのは初めての事である。ハタシメジはミカンの花の様な強い香りが有ると記載されている。匂いを嗅いでみたが、ミカンの花のような強い香りは感じなかったが、幼菌が無かったので何とも言えない。培養観察では、ムラサキシメジの様に菌叢が紫色になるような事は無かったが、落ち葉分解菌特有の気中菌糸がこんもりと立ち上がってくる特性が見られた。湿度の高い地面付近から、厚く堆積した落ち葉に向かい菌糸を伸長させる姿が目に浮かぶ様である。キヒラタケやムジナタケは、培養の優しい菌であるが、個体が古くいずれもバクテリア汚染してしまった。ヒトヨタケは、傘が溶けてしまったので、柄の組織から培養してみたが、今のところ発菌が見られない。アオゾメタケも培養してみたが、きのこが古く乾燥していたので菌糸が生きているかどうかわからない。今のところ汚染は見られないが未発菌である。クジラタケ、ミノタケ、チャミダレアミタケ?ベッコウタケ等は培養の容易なきのこである。今回、シイタケの生駒を培地の中に入れてベッコウタケを培養してみたが、ビックリであった。寒天培地上の菌叢とは異なり見事な白色菌糸の菌叢が見られた。3日程で駒の表面が真っ白になり、さぞや美味しく戴いているのであろうと思われた。動物の食事風景の様な擬人的な表現が多いと思われるが、25年もハナビラタケの栽培を続けて来た私にとっては、擬人的な表現ではない。ヒメモグサタケも2週間ほど経ってようやく発菌が見られて来た。ニセニクハリタケも褐色菌糸を伸ばし、この先どのような菌叢になるのか楽しみである。ニセニクハリタケの培養菌糸も子実体のような芳香が有るのだろうか?ニクウチワタケ?キカイガラタケも元気よくコロニーを伸長させているが、ニクウチワタケと思われる個体は、子実体に触れると褐変したことや培養するためにメスや指先で持った時の柔らかさや粘り気などが有り、本当にニクウチワタケなのかどうか心配になった。ハカワラタケは、元気な菌糸を伸ばしているなーと思っていたら3日ほどで青くなってしまった。きのこの記載のある本の中には、幼菌からバクサレに至る記載が無いことや培養菌叢や芽出しや幼菌の記載が見られず不十分である。カミウロコタケの培養はいつも戸惑ってしまう。きのこの下面の材分離をするとカビが伸びてくる。紫色をした薄皮を更に薄くスライスし、焼いたアルミ箔の上で2㎜ほどの組織をたくさん作り、培地上に置くのであるが、ここにもカビの菌糸が入り込んでいる事が多く、厄介なきのこである。また、赤見の強いマンネンタケ型の大型きのこが見られた。広葉樹の老木に重生していたと聞いたが、あまりにも古く傘肉や管孔はボロボロになっていた。またスギエダタケの様な小型の菌が3~4個見られたが、持ち帰り調べようと思った時には片付けられてしまい、今にして思えばマツカサキノコモドキであったと思われる。残念。7月の、みのやま観察会でウスヒラタケと記載した種は、トキイロヒラタケであった。培養菌糸が生長するに従いピンク色になり、やがてピンクのきのこが出てくるので判る。
今年度のきのこ汁について 昨年不注意で転倒し、頸椎捻挫により苦しんできたので今年度からは、鍋奉行の様な行動はしない様に気を付けました。11月3日にきのこ汁を作り、皆さんで食べるお話をしたところ、前日は、仕事を休み朝からきのこ汁作りをしてくれる様にというありがたいお話が有り、本当に助かりました。きのこ汁作りは、昆布、削り節、アミエビ、トリガラ、ベビーホタテなど別々の鍋でだし汁を取る事から作業が始まります。その間にナスやタマネギなど野菜類を大きめに切り、材料を揃えます。料理の話は2~3行で書けますが、60人分の材料を準備し下味を整える事は、年を重ねるごとに厳しくなってきました。あまり愚痴をこぼしたくないので何時も一緒にお手伝い戴いている葛西さんや橋本さん、村田さんなどに連絡を取り合い、今年も美味しいきのこ汁を作るからねー‼とうそぶいております。その昔、上原さんが究極のきのこ汁作りのお話を成されておりましたので、私もまねをして究極のきのこ汁という言葉を使っておりました。このことについても大反省です。職人さんは何時でも同じ味の料理を作る事ができますが、私の様な素人は、作る度に味が変わってしまいます。プロは毎日お金を戴いて味の勝負をしているのですから初めからレースにならないのです。そのような輩が、究極のきのこ汁などという言葉を使う事が許されるはずが有りません。今年からは素人が作るきのこ汁作りという事に致します。今年度のきのこ汁作りは以下の様な材料を使いました。以前から素材として使いたかったマコモタケがスーパーで販売されておりましたので使ってみました。煮込んでも歯触りの良い野菜でした。マコモタケという野菜は、マコモの幼芽がクロボキンの一種に感染し、肥大生長した物を中華料理の素材として利用しているものです。11月3日のキノコ勉強会は、多くの人達がきのこの勉強会に参加して戴いているだけでなく、きのこ汁を食べながら勉強をするという原点の勉強会でありますので関係者は大変ですが、今後も続けて行きたいと思います。いつもの事ですが、お世話に成った多くの方々に感謝申し上げます。
★印は培養観察した種である。 |